つい先日、教室のバイオリンのメンテナンスをしようとしていたら、大切な塊柱が倒れてしまいました…
私自身今まで体験したことのない出来事でしたので、今回皆様に共有していきたいと思います。
こちらの記事をお読みいただくと、修理する時に注意するべきことや、メンテナンスの重要性についてご理解いただけますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
【やってしまった…】本当にあったバイオリン修理(動画解説)
バイオリンの塊柱って何?
塊柱が取れてしまったと冒頭でお伝えしましたが、塊柱という名称を聞き慣れないという人もいらっしゃるかと思いますので、最初に塊柱についてお伝えします。
バイオリンの塊柱とは、直径約6mmの円柱状の部品になります。表板と裏板の間に挟んでいる形になります。
ですので、普段は塊柱を目にすることはほとんどありません。
ニワカなどで接着されていないので、デリケートな部分とも言えます。
バイオリンの中心部分となり、人間に言うと心臓部分にあたります。
大切な部分ということもあり、塊柱が倒れてしまった経験をしてヒヤッとしてしまいました…
では、今回塊柱が倒れてしまった経緯をお伝えしたいと思います。
バイオリンの塊柱が倒れてしまった経緯
バイオリンのメンテナンスをしていて、アジャスターの部品を付けようとしていた時のことでした。
個別のアジャスターを付け替え、それと同時に弦交換もしていました。
突然、パチン!という音がして駒が倒れてしまいました。
駒が倒れてしまったので、表板と駒が90度になるように意識して駒を立て直しました。
すると、ここで違和感が。
弦交換の続きをしようとして、バイオリンを傾けた瞬間に、「カラン、コロン」という音がするではないですか!
「何だこの音は?」と思い、f字孔の隙間を覗いても見えなかったので、表板を下にして楽器を振ってみることにしました。
すると、f字孔から出てきたものが、「塊柱」だったのです。
そこで、塊柱が倒れてしまったという状況を確認しました。
私自身、塊柱が倒れてしまったという経験が初めての出来事でしたので、正直驚きました。
塊柱が倒れることが稀にあると聞いてはいたものの、実際に経験してみると焦りますね…(汗)
まずは職人さんに見ていただこうということで、早速工房に行き修理して頂きました。
バイオリン修理後の結果
バイオリンを修理いただきました!
修理結果は、塊柱を立て直していただくことができました!
それと同時に、色々な箇所を修理、メンテナンスして頂きましたので、ご紹介します。
バイオリンの塊柱が倒れた原因
まず、そもそもなぜ今回、塊柱が倒れてしまったのでしょうか?
考えられる原因をまとめてみます。
アジャスターを付けて弦交換している時に、駒が倒れました。
「パチン」と大きな音がして、その後バイオリンの中から塊柱の「カランコロン」という音がしました。
ですので、おそらく駒が倒れた時の振動で、塊柱が倒れてしまったのではないかと考えられます。
そのことを職人さんにお伝えし、色々と他の箇所も見て頂きました。
すると、どうやら駒の傾きが倒れやすい傾きになっていたようです。
駒の傾きを調整するか、もしくは駒を変えるという2つの方法をご提案いただきました。
今回は、駒を調整していただくということに決めました。
その他メンテナンスした箇所
その他は一体型アジャスターに変更しました。
バイオリンを初めて触られる生徒様にお渡しするバイオリンでしたので、チューニンングしやすいようにアジャスターが4個付いているバイオリンでお渡ししたかったということが前提にありました。
個人的に、前から気になっていたのですが、個別のアジャスターでしたら、弦1本に張力がダイレクトに負担がかかってしまうので、一体型アジャスターの方がバイオリンにはやさしいかと思いまして、この機会に変えていただきました。
また、エンドピンが欠けていましたので、そちらも同時に変えて頂きました。
ですので、今回は「塊柱の立て直し」と「駒の調整」「一体型アジャスターに変更」「エンドピン変更」の合計4箇所について修理いただきました。
修理代金は約1万円になりました。
修理をする時に注意するべきこと
今回は、教室のバイオリンの修理を例についてお伝えしましたが、こちらの記事をお読み頂いているあなたも今後修理することはあるかと思います。
修理や調整はもちろん、再度同じことが起こらないように原因を探すことが大切です!
そうでないと、修理してもまた再度同じことが起こる可能性があります。
修理代もまたその都度かかってしまうのでコストパフォーマンスが悪くなります。
そして何よりバイオリン本体に負担が掛かってしまいます。
なかなかご自身で判断することは難しいですので、どのような状況で起こってしまったのかを職人さんに的確に伝えることが大事です。
そうすると、根本原因を調べて調整していただけます。
メンテナンスの重要性
私はよく年に1度は楽器のメンテナンスをするようにお伝えしております。
何事もなく弾いていて問題なさそうでも、実は楽器が悲鳴をあげているという場合もあります。
人間と一緒で、年に一度定期検診をするように、楽器も健診が必要です!
今回は教室のバイオリンの例でお伝えしましたが、他人事と思わずにメンテナンスしてください。
また何かあった時でも、焦らず工房や楽器店の職人さんに見て頂くと適切なアドバイスを頂けますのでご安心ください。
決してご自身の勝手な判断はされないようにしてくださいね。
今回は、修理についてお伝えしておりましたが、弓の毛替えをすると同時に楽器の本体のメンテナンスをしていただくことをお勧めします。
以前ご紹介しました記事もご参考にしてくださいね。
また、弦をご自身で替えられる人は、定期的に弦交換もしましょう。
ご自身で弦交換できない人は、毛替えと同時に替えていただくことが良いでしょう。
こちらもご参考になさってください。
ペグの調整方法もご自身でできます。ペグを回すのが硬くなってきたな…と感じられる人はぜひお試しください。
本当にあったバイオリン修理【まとめ】
さて、いかがでしたか?
今回は、実体験を基に、バイオリンの修理について大切なことをお伝えしました。
メンテナンスはついつい先延ばしにしがちですが、普段の練習ができるのは、健康なバイオリンのおかげです。
あなたの大切なバイオリンを労ってあげる機会を作ってみてくださいね。
こちらの記事が、あなたの楽器をメンテナンスするきっかけになれば幸いです。